歯科医院へ行くことにポジティブなイメージを持つ方は少ないと思います。
おそらく、「歯医者さんに行くのが好き!」と答える人はほとんどいないのではないでしょうか?
歯の削る音や麻酔の刺す感じ、繰り返しの通院など、できれば避けたいと思う人が多いのではないかと思います。
そして、「甘いものは控えて虫歯予防!」と言っても、なかなか実行は難しいですよね。
私も例外ではありません。
「食べたらすぐに歯磨き」というのも、忙しい日常ではなかなか厳しいものがあります。
ここで一つの提案です。
実は、虫歯を防ぐ最良の方法は、定期的に歯科医院を訪れることです。
治療のためではなく、予防のために歯科に行くのです。
定期検診やプロフェッショナルなクリーニング(PMTC)を受けることで、虫歯や歯周病を未然に防ぎ、健康な歯を維持することができます。
予防が、忙しい現代人にとって最も効率的で賢い選択と言えるでしょう。
当クリニックでは顎の負担のことも考えています
歯科治療と聞くと、多くの方が長時間口を開けたままでいることの辛さを想像するかもしれません。
実際、人は通常、一日に5分以上口を開けることはほとんどありませんが、歯科治療ではしばしばそれを超える時間、口を大きく開ける必要があります。
これが原因で、治療後に顎の痛みや不快感を感じる人も少なくありません。
かつて私が大学病院で勤務していた時、一人の患者さんに2時間半もかけて治療したことがありました。
その頃は、長時間かけることが丁寧な治療だと考えていましたが、実際には患者さんから顎の痛みや治療時間に関する不満を多く聞くようになりました。
この経験から学んだ教訓は、治療の質を保ちつつも、患者さんの全体的な負担を最小限にすることの重要性です。
当クリニックでは、これを非常に真剣に受け止めており、特に「片頭痛」「ほうれい線」「肩こり」の改善に力を入れているため、顎への負担を軽減するためにも、できるだけ短時間で効率的な治療を心がけています。
これにより、患者様は精神的、身体的なストレスを少なくして治療を受けることができます。
患者様の負担を考えた治療を提供することは、私たちのクリニックの大切な方針の一つです。
定期検診は健康なお口を一生維持するために必ず必要です
定期的な歯科検診の重要性は計り知れません。
もし虫歯が発生しても、早期に発見することで治療を簡単に済ませることができます。
実は、年に一度の検診とクリーニングにかかる費用は約2万円程度。
しかし、痛みや不快感が出始めてから治療を始めると、治療費は数十万円に跳ね上がることもあり、最悪の場合、歯を失うことになれば、その費用は100万円を超えることもあります。
さらに驚くべきことに、定期的な歯科検診を受けない人と比べ、受ける人の生涯における全身の医療費は約1.5倍もの差が出るというデータもあります。
数字を見れば、その差は歴然。
健康な歯は、食事のバランスを整えるだけでなく、全身の健康にも大きく寄与し、生活習慣病のリスクを減らします。
特に、欧米では日本と比較して定期検診を受ける人の割合が高く、その結果、80歳時点での残存歯数が日本人の2倍以上になっています。
これは、定期的な検診とクリーニングの習慣がいかに全身の健康維持に貢献しているかを示しています。
治療を終えた後も、健康な歯と体を維持するためには、歯科検診とクリーニングを定期的に受けることが重要です。
健康寿命を延ばし、より豊かで活動的な生活を送ることができます。
PMTC
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング)は、歯科専門家が専用の機器を使用して行う徹底的な歯のクリーニング方法です。
この技術は、1980年代のスウェーデンで驚異的な効果を示しました。
当時、3歳児の80%が虫歯に悩まされていたところ、PMTCを導入したことで虫歯率がわずか4%まで減少したのです。
この事例からも、PMTCの効果は明らかです。
日本では成人の約90%が歯周病に少なからず侵されていると言われていますし、特に矯正治療を受けている方にPMTCは強く推奨されています。
矯正装置は食べ物のカスやプラークが溜まりやすく、通常のブラッシングでは除去しきれないことが多いからです。
PMTCによる定期的なプロフェッショナルなクリーニングは、健康な口内環境を維持し、虫歯や歯周病を予防するのに非常に効果的です。
美しく健康的な笑顔を保つためにも、PMTCでの定期的なケアを検討してみてはいかがでしょうか。
PMTCの主な内容
PMTCは、口内環境を徹底的に清潔に保つための専門的な治療を含みます。
歯垢染色
まず、普段のブラッシングでは落としきれない汚れを特別な染色液で可視化します。
これにより、磨き残しが一目で分かるようになり、どの部分を重点的に磨くべきかが明確になります。
さらに、舌のお手入れ方法も指導します。
プラーク除去
歯の表面、歯と歯の間、歯周ポケットの深部まで、専用の器具を使用してプラーク(歯垢)を根こそぎ除去します。
手の届かない場所には、微細な粒子を使って汚れを吹き飛ばす特殊なマシンが活躍します。
フッ素塗布
虫歯のリスクが特に高い場合には、局所的にフッ素を塗布します。
これは歯を強化し、虫歯を予防する効果があります。
PMTCを定期的に受けることで、歯垢とプラークの蓄積を防ぎ、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減少させることができます。
自分では気づかない歯磨きの磨き残しや、舌のケアの大切さも学べるため、全体的な口内衛生が向上します。
PMTCを受けて歯周病や虫歯と無縁の歯に
PMTCを定期的に受けることで、歯周病や虫歯を効果的に防ぐことができます。
歯周病の主な原因である歯垢とバイオフィルム(細菌の膜)は、どんな方の歯にも存在しています。
このバイオフィルムは一度歯や歯茎にへばりつくと、薬剤で破壊することが困難であり、特に歯と歯の間や歯周ポケットの深い部分、さらには歯根の周辺にまで広がっているため、自宅での通常の歯磨きだけでは完全に取り除くことができません。
PMTCはこのような場所にもアプローチし、専門的な技術と器具を用いて歯垢やバイオフィルムを根こそぎ除去します。
これにより、歯周病や虫歯のリスクを大幅に減らし、健康な口内環境を維持することが可能になります。
子供のための予防歯科
お子様の歯の健康を守るために、定期的な歯科検診が非常に重要です。
ご家庭での丁寧な歯磨きも大切ですが、歯医者さんへの定期訪問を習慣化することで、お子様は歯科治療への恐怖心を克服し、初期段階の虫歯でも迅速に対処できるようになります。
特にお子様の奥歯は、歯ブラシの毛先が溝の底まで届きにくいため、虫歯になりやすい部分です。
乳歯や新しく生えた永久歯は溝が深く、虫歯が進行しやすいのが特徴です。
こうした問題を予防するために、シーラント(予防充填)が効果的です。
シーラント
シーラントは、歯の深い溝にプラスチック材料を充填し、表面を滑らかにして虫歯のリスクを減らす処置です。
この方法は、歯を削る必要がなく、お子様にとっても受けやすい治療です。
シーラントを施すことで、プラークや食べ物の残りが溝に詰まりにくくなり、歯磨きがしやすくなります。
この簡単な予防措置で、お子様の歯を虫歯から守り、健康な口内環境を維持しましょう。
ホームケアも大切に
自宅での歯のケアは、歯科医院での定期検診やクリーニングと同じくらい重要です。
毎日のお手入れを怠ると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
以下の簡単なステップで、お口の健康を守りましょう!
毎日の歯磨き
● 毎食後の歯磨きは欠かさずに。間食の後もできれば磨きましょう。
● 歯間ブラシやデンタルフロスを使い、普通の歯ブラシだけでは届かない場所のケアも忘れずに。
● 研磨剤が含まれていない、歯茎の健康を支える歯磨き粉がおすすめです。
生活習慣の見直し
● 食事は決まった時間に1日3食(成人は1-2食)、腹八分目を心がけ、間食の回数も制限しましょう。
● 甘い飲み物やお菓子の摂取は控えめに。コーヒーやワインを飲んだ後は、水を飲むことで着色防止にもなります。
うがいと水分補給
● こまめなうがいは予防に効果的です。食後や間食後に、歯磨きが難しい時はうがいを。1日に何回でもOKです。
● 水をこまめに飲むことで、口の中を清潔に保ちましょう。
ストレス管理
● 唾液は歯周病や虫歯にかかりにくくする効果があります。ストレスは唾液の分泌を減らし、虫歯や歯石の原因に。唾液は自然の消毒液です。
● 適切な睡眠や趣味でのリフレッシュは、ストレス解消に効果的。心と身体の健康が、お口の健康にも直結します。
自宅での丁寧なケアと定期的な歯科医院でのチェックアップで、お口のトラブルを未然に防ぎ、健康な毎日を送りましょう!